ベージュのダッフルコートの下には、薄い水色の夏物ワンピースというおかしな格好をしていた。
近づいて顔をのぞき込んでみる。
銀色の長い髪の奥から、端正な顔立ちが見える。
およそ14、5歳ぐらいだろうか。
この銀色は地毛か?
ハネから逃れるために、日本に移住する外国人は少なくなかったが、髪の毛が銀色の国などあっただろうか。
もしくはこの子もハネの病?
ハネの病による髪・血・目の変色は、血を除きそれぞれ違うと姉が言っていた。
見たところ、まだ羽根は生えていないようだけど…
この子も、この若さで死んでしまうのか…
そんなことをぼんやり考えていると、少女がゆっくりと目を開けた。
透き通った淡い緑色の目。
ハネの病だ。
思い切り目が合ってしまったので、とりあえず声をかけてみる。
「…どうした?」
「……」
「ひとり?」
少女はこくん、と頷いた。