いくつでも浮かび上がる質問に襲われている中、ナキがコウスケの部屋を出て行った。


見るに耐えないほど情けない姿のコウスケを放っておき、ナキを追いかけ部屋を出た。




ナキはアパートの前で立ち尽くしていた。



「ナキ!」



階段を駆け下りてナキのもとへ向かう。

ナキは俯いたまま、見向きもしなかった。




「コウスケを、知ってるのか…?」




恐る恐る聞いた。


ナキは相変わらずのだんまりだ。




長い沈黙が流れる。


だんだん苛立ちさえ感じてきた時、ナキがか細い声で言った。




「…あの男の人、知ってる」




やっとナキの心に触れることができた。


どうかもう、黙ってしまわないで





「聞かせて。ナキの知ってること、全部。」





ナキは小さく頷いた。