コウスケのアパートの前に着くと、コウスケの部屋からうめき声が聞こえてきた。
急いで階段を駆け上がり、コウスケの部屋の扉を開ける。
「コウスケ!」
部屋中、どこもかしこも荒れ放題で寒気がした。
コウスケ本人は、床に膝を付け唸っている。
僕の声などきっと届いてないんだろう。
「コウスケ!どうしたんだよ!」
近寄ってコウスケの体を揺する。
声が届くようになるべく大きな声をあげた。
「…………ユウヤ…?」
コウスケがゆっくりと顔を上げた。
その目も声も窶れきり、完全に怯えていた。
しかし自分の声が届いたことに安堵したのも束の間、コウスケはどこから出したのかもわからないような奇声を発した。
「うわああああああああ!!!!天使がっ、天使がああああ!!」
この世のものとは思えないものを見ているというような顔をしたコウスケが指をさした先には、
銀色の髪を揺らした、ナキが立ち尽くしていた。