怪しげな笑みを浮かべる姉の視線を浴びるのは非常に居心地が悪い。

話は済んだので帰ろうと思い踵を返すと、姉がまた声をかけてきた。



「じゃあ質問変える。ナキに好きって言われて、なんて返してるの?」






“好き、ユウヤ”



「“俺も、好きだよ”…?」





正直、あまり深く考えたことはなかった。



「…本気?」




姉が怪訝な顔をして言った。



ナキが羽根に侵食されて死んでいく様は綺麗だろうと思っていた。





輝く銀の長い髪をなびかせて


水気を帯びた淡い緑の目で僕を見て




小さな命が、無数のハネに包まれて散りゆく姿は、さぞかし美しいのだろう、と。