ハネの毒は、持ち込まない限り家の中には入らない。


なのでずっと家の中にいるのが今のところ一番の予防法なんだろうけれど、きっとずっと家の中にいたら逆に病気になってしまうと思った僕は、天気の良い日だけは外に出て、日の光を浴びることにした。

科学者の姉の話によると、ハネの毒は日光の下では威力が下がるらしい。

詳しくは知らないけど。







姉のマリナは科学者だ

11年前に発症したハネの病の研究をずっと続けている。

ただ研究を重ねるごとに犠牲も増えていく。


各国の様々な科学者も血眼で研究したのに作れなかったワクチンや薬が、たかだか26歳の科学者に作れるわけがないというのは、きっと本人が一番よくわかっている。

だけど研究をやめることができないのは、自分がハネの病で死んだとき、研究の犠牲になった人達に合わせる顔がないからだろう。