「ん、剣道って裸足なのー?」

「そこからですか・・・。」

「いやまあさすがに靴を脱ぐのはわかるんだけど、なんか履くのかなって」

そう言ってローファーを脱ぎ、靴箱に入れる。


「靴下も脱ぐのかな?」

「いや、見学だしいいでしょ」


「あれー、剣道って裸足でやるんだー・・・」


どっかで聞いた台詞、てか15秒前に聞いた。


くるりと後ろを向くと、小さい女の子がいた。

「あぅ!?あ、いやその、靴ではないとはわかるんですけど、なんか履くのかなって・・・!!」


私と目が合うと、その娘はわたわたと喋りだした。

「あ、初心者ー?あたしと一緒だね」

「あ、はい、えと・・・はい!」


初心者なのに一人で来たのか・・・ある意味勇気いるよね。


「あたしは麻衣でこっちはゆーちゃん!ゆーちゃんは強いんだよー」


「えっすごい!あたしは伊藤・・・伊藤、由美」


「いや、強くはないよ・・・経験者ってだけで」


実際私は強くない。

いや、弱いってわけではない・・・と思うけど。


いちお初段は持ってるものの、高一で初段なんて珍しくはない。

二段三段だってそれなりにいるのだ。