誰かが俺を抱き上げ、庇ってくれた。 俺は難を逃れた。傷ついた俺を手厚く看病してくれたのが…華だった。 俺は祠で華を待つ毎日。 傷が癒えるまでの逢瀬。 華の優しさに触れて人も捨てたモノではないと見直した。欲望の権化のよ うな万物だと人は思っていたが…華は違った。常に誰かに役に立ちたくて生きているような女性。 主を亡くして…ぽっかりと穴の空いた心の中を華の存在が埋めてくれた。