両親が有名だからか、あたしも子供のころからずっと優遇されてきた。
そんなのやなんだけど…でも嫌って言ったらダメなんだ。
例えば最初にもらった賞。
あれだってあたしの実力なはずがない。
きっとお母さん達の名前のせいなんだ。
じゃなきゃあんな立派なものもらえるわけないよ。あたしが。
だけどそれを断れないんだ。
父様の顔に泥を塗ることになるから…。
そしてある日パリの国際コンクールで優勝をもらったあたし。
それだって、信じられない。今でも。
こんなあたしにそんなたいそうなもの見合わない。
そう思って複雑な心境でパリの家に帰ったあたし。
いつもならただいまって言えばお母さんのおかえりって声が出迎えてくれてたのに。
その日は、お手伝いさんがいるだけだった。
部屋の中に入れば当然誰もいないし、何時間待っても帰ってこない。
ちょっと不安になってきたとき、父様が帰ってきた。
お母さんがいないことを話したら、すぐに帰ってくるだろうって。
でも。
それから半年間、帰ってくるどころか連絡一つこなかった。
「……それでお母さんが大好きな日本に帰ってきたんだ。もしかしたらこっちに来てるのかな…って」
まあ、なんの保証もないんだけど…理由も全然分からないしね。

