「チッ……」
小さく舌打ちをしながらも、壁に寄りかかって待ってくれてるかっくんはやっぱり優しい。
ああ見えてきっと、不器用なだけなんだ。
とはいえ待たせるとしびれを切らすので、大急ぎで片付けて飛ぶ勢いでかっくんに駆け寄った。
「あ、ほんとに帰っちゃうの」
「帰っちゃうの~」
「ほんなら明日なー」
「あたしがビシッと言っとくから明日出来るわよ。そしたらもう残らなくて済むわ~♪」
「頑張れりんりん!」
りんりんならできる!
怖いものなし!
怖いのは唯一りんりん本人のみ!
「じゃあね~」
ぶんぶんぶんっと大きく右手を振りながらも左手はかっくんの服を握っているから、すたすた歩く彼に引きずられるようになった。
「待ってよかっくん」
「さっさと前向いて歩け」
そう言って止まってくれ、体勢を立て直した。

