「ってこらこら楓! ホントに帰んないのっ。一応一通り目通ししてみたほうがいいでしょ?」


かっくんの首根っこを掴みながら、ひらひらと楽譜をチラつかせるりんりん。

やっぱり最強です…。


「…これ何の曲?」


「さあ…知らない。見たことない」


「てか作曲家の名前からして…絶対ヘンだと思うよ。なにこのミハイル・ザ・ケンタって」


けんた?

日本人?

いや……『ザ』って…人じゃないの?

てゆーかみはいる…。


「……」


突っ込みだしたらキリがないので、ここらでやめておこう。

そう決めて、作曲家の名前は見なかったことにした。


「まあ…結構単純なリズムだし、一回通せばもう大丈夫だよね」


ましてかっくんは天才だし、しゅっちゃんや蓮くんもだいぶ名高いらしい。

りんりんも実力派として人気があるみたいだし…。

これならすぐ終わるよね!


「さーっ。まおはぁ…しゅっちゃんがいいな♪蓮くん! かっくんは任せたよ」


「ああ。任せて」


「…おいこら」


「やたーっ。真緒たんや真緒たんや~♪男なんぞと組まんですんでよかったぁ」