それにあいつ……出来ないと言った。
『それにまお、昔みたいにバイオリン出来ないから――』
確かに、今日演った演奏は藤峰真祐のものにしちゃなにか物足りなかった。
とはいえ、常人からすりゃ充分すぎるほどのもの。
完璧を追い求めるタイプには見えない。
ただ単純に楽しみたい。
それ一心にひたすら磨き上げていく。
そういうタイプだ。
それが……なぜ。
あんなことを言ったのだろうか、と。
ずっと、気にかかっている。
「あーびっくりした」
バタン、という扉の閉まる音と共に、大きく息を吐きながら真緒が戻ってきた。
「あ、なんだったの?」
「なんかー、梨音ちゃんが琥珀ちゃんに怒られてたー」
「おにーちゃん妹苛めたらあかんやんね」
…ペットは飼い主に似るってのは色んな意味で本当だろうな。
一緒に生活していくうちに似るのもあるだろうが……元々自分と似たのを選んでる節があるように思う。
妹のほうはタイプが真緒に似てそう…。

