場所は聞いていた。
でも――……。
「ねえねえ。まおの家どこだと思う?」
「俺が知るか」
「えーっ。じゃあ二丁目らへんってどこ?」
父様が『二丁目らへんまで行ったら分かるから』と言っていた。
「真逆やで」
「……」
「……」
早く言おうかそれ。ね。
試行錯誤しながらようやく自宅に辿り着いた。
……ハズ。
目の前に聳え立つ大きな建物。
マンション…とかゆーのだよね。
「えーと。……ここ?」
「そのはずだけど」
「高級マンションってやつだよ…」
ああ…なるほど。
高級と名のつくものが大好きな父らしい。
「いちばん上って何階かな?」
「一番上なん!?」

