「あたし今朝、母さんと喧嘩しちゃったんだよねー…。今日泊めてっ」
「ええ?」
い、いきなしですか…。
引っ越してきたばっかなんだけどなー。
「まお家がどうなってるか知んないんだお」
「は?」
「昨日住むとこ決まって……今日直接がっこ来たの」
ぽかんと口を開けてあたしを凝視するりんりんの代わりに、蓮くんが聞いてきた。
「来たって……どこから?」
「んとねー、パリ」
「帰国子女!?」
まーそんなとこ。
でもそれってそんな驚くことでもなくない?
「謎の多い子ねー」
「帰国子女って謎なの?」
「俺に聞くな」
だあってぇ。
「それはそうと真緒たん、その手はなあに?」
ずっと聞きたかったんだ、というような表情でりんりんが言う。

