まったく自分の非を認めようとしない。
それどころか気付いてさえいない。
むっとしてさらに言い返そうとしたとき。
「真緒。落ち着け」
人ごみを掻き分けて、かっくんがあたしの元へやってきた。
「……かっく~ん、だって…」
「いいから。もう行くぞ」
「……うん」
かっくんが言うのなら仕方ない。
それに、あの人ってなにを言っても無駄そうだし。
渋々諦めて、守るように腰に手を回してくるかっくんと一緒に部屋を出た。
「か、楓様!? なんですのその女は!」
「あの子……可愛いのに…」
「相手が星野じゃお前……こてんぱんになるだけだな」
「あ、またあの子…」
「結局なんなの?」
四方から様々な声が飛び交ったけど、そういうのには慣れてる。
見られるのは嫌いだけど、色々言われるのは…もうなんかどうでもいい。
世界中から言われ続けてきたあたしとしては、ほんの数十人やそこら、気にもならないのだ。
「大丈夫か?」
珍しく心配してくれている。
「だいじょぶ」
えへへっと笑ってみせた。

