肩をすくめて、巧みにかっくんの後ろに隠れながら中へ入った。

でも…それが失敗だということには、すぐに気付いた。


…かっくんて超注目される人じゃん!!


「…真緒ちゃんなにやってはるの?」


あとほんの数歩だというのに、さささっと移動してしゅっちゃんの後ろに隠れた。




「はふ~~~……」


数十分後、授業らしきものが終わり、力尽きて机に突っ伏した。

斜め前のほうでは、かっくんの周りにどわっと女の子達が押し寄せている。

あれじゃあ……大変だね。かっくん。


しみじみと同情を噛み締めた。

……のがバレたのかと思った。

一瞬、かっくんがぎろりとこっちを睨んだように思えたからだ。

なんだか目が…「同情するくらいなら助けろ」みたいな。

そんなこと言ってるように見えた。


「…押し寄せる 人波荒れゆく 海の波」


「あ、なんかうまい。語呂が」


「うん。語呂がいい」


あ、まじで? ありがとー。


……って褒めてないでしょそれ。



ピーンポーンパーンポーン


「ん?」


文句を言おうとしたあたしを邪魔したのは、スピーカーから鳴るチャイム音だった。