「……は?」

「あ?」

「へ?」

「……痛い」

「蓮くんだいじょおぶ?」


蓮くんが病室を出ようと扉に手をかけたとき、それより一歩早く外から他の誰かが勢いよく開けた。

そのまま飛び込んできて、蓮くんをぶっとばしてしまったのだ。


「真裕お嬢様、ご無事で!? ああっ。なんとおいたわしい! そのような得体の知れない男に支えられねば身を起こせないとは…!」


「……」

「……」

「……なんやこいつ」


いや、ほんとだね。

なんやこいつ。


「しかしさすがですな! とても五年ぶりの舞台とは思えませなんだ」


「?? ?」


「あれでは私めがでしゃばることもなかったかもしれませんな」


えっと……。


「……誰…」


……でしたっけ。


「はうっ……!? …き、記憶喪失!?」


…いえ。違います。断じて。