―――……

次の日学校へ行くと、数日ぶりになにやら浮き足立っていた。

会話に耳を澄ませてみる。


「なあ…。明日だよな? リサイタル…」

「うん…ほんとにやるんだね」

「でもさあ、あれってほんとに藤峰真裕か?」


「やっぱお嬢様はみんな一緒なのかねー」

「よく考えたら、なんで今まで藤峰真裕は特別だって思ってたんだろ?」

「所詮例外はないのよー…」


……あたし……なにやってるんだろ?

藤峰家の名を落としてる…?

守らなきゃ、ならないのに……。

あたし、なにしてるの…?


「真緒…」


「…かっくん。まおなにやってるんだろうね。父様とお母さんの……」


「…?」


それだけじゃない。

すべてをあたしが……ダメにしようとしてる。

このままじゃいけない。

でもどうすればいいの?


「かっくん……まお、どうすればいいんだろ」


「……お前には無敵の武器があるだろ」


「え…?」