いつだったか、かっくんもああして両端に寄った人に挟まれるように道を作られていた。
でも彼女はそれだけじゃない。
ちらちらと横を見ると、嫌そうな顔をして隣の男に耳打ちをする。
「おい君達! 真裕さんはお静かなのをお好みだ。去れ!」
「そうですわよ。この方のお父上はかの有名な藤峰洋平様! お師匠様は伝説のマエストロ、スタッディーノ氏ですわよ? わきまえなさい」
「なによあれ?」
「なんか幻滅ー」
「何様のつもりかしらね? 付き人まで付けて…」
ご……ごめんなさい…。(…あれ?)
「か、かっくん…」
「チッ……おい、戻るぞ」
「うん…。なんかやな気分ー」
「あら。真緒にしては珍しいわね」
いや…うん。
色んな意味でね。人の名語ってなにしようってのかしら。
場合によっちゃ黙ってないんだから!
「…いいのか?」
「ん?」
しゅっちゃん達の数歩後ろで、かっくんがこそっと聞いた。
「まー……別になんかしたわけじゃないし…。でも場合によっちゃ…」

