しかし、盛り上がった諸君の妄想は留まることを知らなかった。
どこを歩いてもずうっとみいんなその話で持ち切り。
「俺さーほんとはバイオリンやりたかったんだよー藤峰真裕の影響で」
「あー俺も。でも母ちゃんが『そんな高いお月謝払えませんっ』とか言ってさ」
「きゃはは! うちはやらしてくれたよ。真裕ちゃんみたいになってほしいとか言われて」
あたしなんかでよければどうぞどうぞなってくださいまし。
……って感じだよねほんと。
「ねーほんとにやんのかなリサイタル。見たいよねー!」
「久しぶりにあの演奏聞きたいっ。なんか元気出るんだよね」
「本当。なんかパワーがあるのよ」
…いやーそんなことないっすよ。
やだなもう照れるじゃんか。
「五年ぶりだよ五年ぶり! 変わってないといいね」
「でも見た目はきっと可愛くなって…」
「へんたーい」
「あんだよ! 言ってみただけだろ!」
いやいやいやいやいや。
激しくおかしい。
見た目どうでもよくない? てか……。
……かっくん。
あなたなに笑ってんですか。
ひっどいなもう。
むっと頬を膨らませてかっくんを睨みつけると、さらに笑われた。

