それから三十分、ようやく家を出た。
「ばいばい琥珀~。梨音、今日もかっくん帰ってくるからね❤」
嬉しそうな顔からして、梨音ではなく自分に言っているように見える。
「くふっ♪」
「……」
なんでこいつこんな機嫌いいんだよ。
俺がいるのがそんなに嬉しいわけ?
……ま、真裕のことだ。
寂しいからとかいう理由で、いるのも誰でもいいんだろうけどな。
つーか寂しいから犬を飼うとか言ってなかったか?
飼っただろうがよ。
やっぱり分かんねーやつ…。
「かっくん?」
「あ?」
「どしたの? こーんな皺寄せてさ」
眉間に指を当ててしかめっ面を作ってみせる真裕。
「面白い顔なってんぞ」
「えー? じゃかっくんも面白い顔してたんだよ」
「いや。お前限定」
「なんでーっ」

