蓮くんに促されて、涙目で頷く。


「何で切ったらそんなことに…って……」


「…? どったのりんりん」


「ちょっと…これ、やりすぎじゃない…?」


驚きの声で机の中からりんりんが取り出したのは、いわゆるかみそりというやつだった。


「まさか手ぇダメにしようとしたんちゃう?」


音楽家の命ともいえる手。

それを狙ったとしか思えないってことはそういうことだ。

さすがにちょっとショックだった。そんなにまで思われるって…あたしほんとになんかしたの?


「それはあとだ。行くぞ真緒」


あたしの右手首を強く掴んで引っ張りながら、かっくんが言った。


「かっくんいたい」


「止血だバカ」


…あ。ほんと。

血が……ぼたぼたと。


「……かっくん」


「ん?」


「まお悪いことしたのかな」


「……いや。お前は何も悪くねぇよ」


そう……かな…。