そりゃその方が探しやすいかもしれないけど…それじゃダメなんだよ。
もしお母さんがなにかどうしても見つかりたくない事情があったとしたらどうするの?
あたしが目立っちゃったらダメでしょ?
時間がかかろうが何しようが、あたしのことは伏せておきたいの。
「ちゃんと演奏はしますから…」
「仕方がありませんね…。学校との約束ですものね。なにより理事長があなたを強くお望みなのですもの」
そういえばなんでだろうね?
父様のことや何もかもをすべて隠したあたしなんて、いたってなんの得にもならないのに…なんで是非って言われたんだろ…。
「あらまあ! もうこんな時間です。早く教室に行きましょう二人とも」
引き止めたのは自分だということを忘れているのかなんなのか、ほらほら、と急かしながら岬先生は腰を振りながら先に行ってしまった。
「……俺アイツ苦手」
「まー…分からなくもないよ」
悪い人じゃないんだろうけどねぇ…。
ちょっとね。うん。分かるよ。
「急ごっか。一分でも遅れたら岬先生のハグが待ってるよ」
「最悪」
あはは…。
あたしもそれはぶっちゃけ嫌なので、まだ少し痛む頭を抱えて小走りに向かった。

