「あら。武藤さんに星野くんじゃありませんこと」
「はい?」
突然後ろから声をかけられた。
この口調、声色、そしてもう匂ってくるお化粧のにおい。間違いない。
「岬せんせえ」
「ごきげんよう」
「へ…ご、ごきげんよう?」
「聞きましたわよ。昨日のこと…。それに今朝も。あなたもしかして…」
「いやー……かっく……この、えーとこの人。あのー……星野楓! そう、星野楓だ。……以外は知らないはずですけど…」
「んまあ!」
げっ。
な、なになに?
「んまあなんてことでしょう! 星野くんが? んまあんまあ…」
んまあって言いにくくないのかなぁ…。
しかもすごく大袈裟にのけぞって、右の手の甲を口元に当てている。
「ではもう公表してよいですわね? そうすればきっと…」
「あ、それは無理ですね」
「んまあ!」
あ、また出た。んまあ。

