「スタッディーノ巨匠…」
「スタッディーノ!?」
「超すげぇマエストロやん…」
小さい頃からのあたしの先生だった。
お父さんみたい…というよりは、おじいちゃんみたい。
すごく優しくって誰よりも大好きだったの。
先生の包み込まれるような演奏も大好きで…かけがえのない人。
そんな先生から、二年前これを預かったんだ。
先生は世界一周演奏旅行をしてくるって言って、ストラディバリをあたしに渡したの。
帰ってきたときに返せたらいいなって…そう思って頑張ろうとした、矢先のことだった。
『たった今入ったニュースです。世界的巨匠スタッディーノ氏の乗る便と思われる飛行機が――』
え? 先生…?
『――……墜落した模様です』
え……?
墜……落……?
……間違いであってほしいと。
何かの手違いで先生が乗ってなきゃいいと。
何度も願った。
だけど……。

