――真裕(真緒)サイド――
あたし……あたしちゃんとできてた?
お母さんがいなくなってから一度もうまくいかなかったのに…。
ちゃんとできてた…?
「ふあーーんっ…」
「どうした…」
急に泣き出したあたしを、戸惑いながらも慰めるように背中を撫でてくれる。
それがなぜか、すごく安心した。
なんかお母さんにしてもらってるみたいな……ううん。
それとはまた違う気もする。
なんだろ…この安心感。
…あ…そうか。
だからなんだ…。
かっくんがいてくれて、安心できて…心に余裕をもって楽しめたから、ちゃんとできたんだ、あたし。
焦ってたんだな…。
早く、上手く。国際コンクール優勝の名に見合うように、上手く。
そう思って焦ってたんだ。
なにか、胸のつっかえが取れたような気がした。
「かっくん…ありがと」
「なにが?」
「…ふふ」
ありがと。いてくれて。

