「パリ! パリなん? ええなあ…。いっぺん行ってみたいわ」
…と、しゅっちゃんの意識は完全にそちらへ向いた。
もしかしてあたし以上にばかなのかな。
わあ、救われる!
「くぉらどういう意味やΣ」
相変わらず騒がしい室内。
せんせーが来るまでも少し時間はあるだろう。
がたっと席を立ち、窓枠に肘をつく。
「……」
ん…?
「澄み渡る 空に一つの 陰りあり…」
雨……降るのかな?
やだなー。
雨、見るのは好きだけど降ってるときに外歩くのはやなんだよね。
…誰でもそっか。
ふう、と小さく息を吐き、再び空を見上げたときだった。
また……教室がざわめきだす。
「もしかして……」
「そうだって! マジ美人…」
さっきとは違い、なんとなく男の声のほうが多い気がする。

