いきなりの急展開過ぎて、そこについて気付かなかったよ...。
あたし、しちゃったんだ。
済ませちゃったんだ。
ファーストキス。
先輩と、だなんて嬉しいけど。
嬉しいんだけど...。
でも、なんか、悲しい...
ファーストキスは先輩と!とは心に誓ってたけど、両想いじゃないのにキスしちゃうなんて。
ワケわかんないよ...先輩...
「ちょっと!何泣きそうになってんのよ?」
「うぅ...っ...」
急に泣きだしてしまったあたしの背中をさすってくれるミドリ先輩。
その優しい手つきに余計涙が出た。
「私...
爽司呼んでくるわ!」
着ていたニットのカーディガンをあたしに羽織らせて、駆けていく先輩。
「ちょ、ちょっ...!」
…足が、速いんだな...。
すぐ見えなくなった先輩の背中に追い付くのは、容易じゃないと悟った。
ていうか、涙ひっこんじゃった。
あれ、ちょっと待って。
爽司先輩がここに来るってことだよね?
目、腫れてるかな?
目赤くなってたらどうしようっ。
アレコレ焦っているうちに、先輩が戻ってきた。
市崎先輩を連れて。

