「ああ、キスね。キス......ってええぇ!?」
わあー。良いリアクション。
ミドリ先輩が目をまんまるにして詰め寄ってくる。
「いつ!?どこで!?なんで!?」
ちょっと...先輩、近いです...
予想以上にびっくりしてくれる先輩。
「ここで。一時間ほど前に...
なんでかはわかんないんですっ。
なんでだと思いますか!?」
「ちょっとちょっとちょっと待てよ...
やっと自覚したわけか...ああ、そっか...」
小声で呟いている。何言ってるのか聞こえないよぉ。
ていうか最後に一人で納得してるし!
「良かったじゃん☆恋する乙女、るい!」
ええ、何そのテキトーな感じは!
勝手に良かったでまとめちゃったよ!
グっと親指を立ててウインクする先輩。
「ちょ、ミドリ先輩っ。
質問に答えて下さいよぉ!」
「もうすぐ部活終わるし?
聞いてみれば?爽司に。
じゃあね~ん。」
ひらひらと手を振って帰って行こうとするのを、腕を掴んで制した。
「ミドリ先輩っ、それはないんじゃないですか!あたしは一時間も真剣に悩んでるのにっ。相談くらいぃ!」
アドバイスくらいくれたっていいじゃない!
あたし恋愛も、キスも初めてなんだからっ。
大体さっきまで尋常じゃないくらい驚いてたくせにっ。
――――――あ。
あたし、そう言えば...
ファーストキスだったんだ...。

