「...るい。」
セト ハルキの足が止まった。
顔を上げると、切なそうな顔が目に入った。
数メートル先にはあたしの家。
俯いてたからわかんなかったけど、結構歩いてたんだな...。
「ムリんなったら、オレんとこ来いよ?」
それは、どういう意味なの...?
爽司と別れたとしたら...ってこと?
「オレは...るいの支えになりてぇ。」
グラっと心が揺れる。
セト ハルキはあたしを支えようとしてくれてる。
どうしてあたしなんかなのかはわからないけど...
「ありがとう、ハルキ。」
でもね...
「でも...あたしは爽司が好きだから..」
あたしは初めてセト ハルキをハルキと呼んだ。
まだ、あたしは爽司を諦められそうにない。
「好きだ」と抱きしめられたとき感じた体温も。
激しくも優しいキスも。
たまに見せてくれた笑顔も。
「うるせぇ」って照れ隠す表情も。
まだ、思い出にはできないから。
フラれたとしても...
想うだけならいいでしょ?

