あたしの真横を、気配でセト ハルキが通り過ぎるのが分かった。


あたしはこの白い空間にひとり...






セト ハルキに甘えるんじゃなかった。


爽司を怒らせて...


言葉通りあたしは″最低″だ。


爽司の″最低″って言葉、いやがらせされた時よりも、階段から突き落とされた時よりも...


ずっと、ずっと重くて、痛い。


そりゃ、誰だって、他の男の子に抱きしめられてたら浮気だって思うよね。


あたしだって爽司が他の女の人と抱き合ってたら許せないもん。




...もう、終わりかな...。

あたしの儚き初恋。






きっとあたしはこの後、フラれて。



赤の他人になって。



付き合ってたことなんて...


爽司の記憶から追い出されて。

塗り替えられて...






でも、気付いて欲しかった。



何かあった?って優しい声で言って欲しかった。



辛かったな、って抱きしめて欲しかったよ。



あたしからは言う勇気がないから...




こんなあたしのわがまま。


通されるわけがなかったんだ。








「...うぅ...ふっ...好きだよぉ..。」




保健室でひとり、呟くあたし。


もうきっと届かない。




あたしはずっと...


冷たいフローリングの床で、カラダの中の水分がなくなっちゃうんじゃないかってくらい、泣いた。