「最近、変じゃねぇかって思って来てみたら...
そーゆーことかよ...。」
蔑むような爽司の目線。
こんな、爽司...知らない。
「違うっ。これは違うの!」
あたしはベッドから立ち上がって、爽司に近寄った。
爽司はあたしがセト ハルキと浮気したと思ってる。
「あ?何が違げぇんだよ!」
声を荒立てる爽司。
恐ろしさで手足が震える。
恐い。
恐いけど、言わなきゃ。
「違うの!話を聞いて!」
爽司に触れようとしたら、
「触んな!」
パシンっと乾いた音が鳴って、あたしの手は思い切り振り払われた。
「…そう...し...っ...」
涙が溢れる。
払われた手が痛くて。
ううん、違う。
心が痛いの。
「...お前、最低。見損なった。」
爽司はそう吐き捨てて、ガンっと乱暴に保健室のドアを開け、出て行ってしまった。
爽司の言葉一つ一つが剣みたいに鋭く、突き刺さった。
あたしは追いかけることも出来ずに、
「...うぅ...そう...しぃ...」
その場に泣き崩れた。
違うのに。
抱きしめられたのは本当。
でも、辛かったの。
あたしも出来る事なら、爽司に抱きしめて欲しかったのに。
爽司が好きだから...
爽司が、好きなのに...