「...そっか。頑張ったんだな。よしよし。」


大体話し終えたら、子供をあやすように頭をよしよしと撫でてくれる。


頑張ったんだなって一言が嬉しかった。


あたし、頑張ってるんだよね...?



熱いモノがどんどんこみ上げてくる。



「...泣き虫だな、お前。」





そう言ってセト ハルキはあたしを抱きしめた。


久しぶりの人のぬくもりはあたしの冷え切った心をあたためるかのように、沁みわたる。

シトラスミントの香り。

セト ハルキの香り...。





あたし、理解者が欲しかったんだ...。

こうして抱きしめてくれる胸が欲しかった。


あたたかいぬくもりが、欲しかったの。






「るい...。」




セト ハルキが切なげにあたしの名前を呼んだ時。




―――――ガララ...





「何、してんだよ...。」





ズシリと重い低音。


ハッとして声のした方を見ると、











「...爽司...。」




―――今までに見たこともない、冷たい表情をした爽司が立っていた。