「おーい。るいー。おーい。」
ハッと現実に戻る。
もうあたりは薄暗くなっていた。
あれから先輩のキスのこと、ずっと考えてて...
何時間経ってるのよ!?
あたし、ある意味怖い...
いや、でも仕方ないでしょ。
大好きで大好きでたまらない市崎先輩からのキス。
ミドリ先輩はいつまでも戻ってこないあたしを心配して、来てくれたみたい。
「ミドリ先輩~...どうしよう...」
今にも泣きそうで先輩にすがりつく。
「うわっ、何よぉ。
ボール磨き終わってないじゃない。」
あたしの背後に積まれたボールを見て、ミドリ先輩のキレイな顔がものすごく嫌そうな表情になる。
だって、しょうがないでしょっ。
「あたし、市崎先輩に...そのっ...」
「え?爽司?…あ、爽司と言えば。
今日の練習腑抜けみたいだったわ。
シュートもはずしまくりだったし。」
「えぇ?市崎先輩が?」
市崎先輩は3ポイントシュートなんて百発百中なのに。
珍しいな。どうしちゃったんだろう。
「で?爽司がどうかしたわけ?」
首をかしげるミドリ先輩。
ものすごく言いにくいけど...
言っちゃおう。
恋愛は百戦錬磨らしいミドリ先輩にアドバイスもらおう。
「市崎先輩に...キスされちゃったんです。」

