声ですぐわかった。


セト ハルキだ。


あたしはのそのそと声のした方に向く。




「元気?...っぽくねぇな...。」




案の定、セト ハルキだった。


あたしの張りがない表情を見て、すぐ元気がないことを悟ったらしい。



今日は前と違って、あのやわらかそうな髪が少しつんつんしていた。


寝癖かな?




「元気だよ...。」


「ははっ。元気なやつは保健室なんて来ねぇよ。」



それもそうか。

あたしもつられて力なく笑った。



「...マジお前、十代か?顔、疲れ切ってんぞ。」


「...アナタは元気そうだね。」


「うるせー。」






ふと、爽司を思い出す。


照れ隠しにはいつも「うるせぇ」って言った爽司。


あの時が一番幸せだったな。



まだ付き合って3週間弱しか経ってないのに、すごく懐かしく思える。







「...何、泣きそうになってんだよ?

オレに話してみ?バカになんかしねぇから。」




セト ハルキもベッドに腰掛けて、あたしの目線に合わせて言う。



あたしを宥めるような、優しい声色。







「あのね...」




あたしはおずおずと口を開き、ポツリポツリと話し始めた。


セト ハルキは意外と真剣に聞いてくれて、ときどき相槌を打ったりして、あたしの声に耳を傾けてくれてた。