あの事件からもずっと、いやがらせは続いていた。

しかも殴り書きされた手紙が毎日机に入ってる。


《ワカレロ》

《ウザイ》

《近付くな》




階段から突き落とされたのは″忠告″。

でも別れようとはしないあたしに、いやがらせは確実にエスカレートしていた。



あたしの心は完璧に弱っている。

でも留美とさくらにはもちろん言わなかった。

ひたすら隠し通している。



なくなってばかりの上履きを探すのはやめた。

新しい上履きをいちいち持って帰るようになった。

バッグに不自然じゃないカワイイピンク色の鍵を付けた。

教科書を捨てられたり、破られたりしないように。

体操服もバッグの中に入っている。

教科書とか、体操服とかなくなったらかなり困るもんね。

机の中には何も入れない。


だけどあたしの机の中は悪意がいっぱいの手紙が常に入っている。



爽司とは、前みたいに頻繁に会ってない...。


たまに会うけど、普段通りに話す爽司に、前みたいに明るく返せない。

部活にも行ってない。


ミドリ先輩、どうしてるかな。

1人でボール磨き大変だよね。


行かなきゃ、と思うけど行く気分にはなれない。





完全に、相手の思うツボになっちゃってるあたし。





だけど、今あたしには精一杯で。


隠して、笑うのにいっぱいいっぱいなの。




ホントは今すぐにでも爽司に会いたい。


抱きしめて欲しい。


そしていつもあたしを幸せにしたキスが欲しい。




しんどいよ...爽司...。