「ホンット、ビビったよっ。ゆっくり休みなね?」
さくらと留美に送られて、保健室へと来たあたし。
「う、うんっ。ありがと。」
今の気持ちを決して悟られないようにと、無理矢理笑顔を作って、手を振った。
「結構擦り剥いてるわね...。消毒するわよ?」
保健の木村先生。
さらさらロングヘアーの黒髪。
感じのいい上品な服を着て、その上に白衣を着ている。
木村先生のふんわりとした雰囲気に包まれて、なんだか安心する。
消毒しようと木村先生が屈んだとき、サラリと流れた髪からかすかにバラの香りがした。
「イタっ...。」
小さい頃からドジで、擦り傷や切り傷には慣れっこだけど。
さすがに消毒は沁みて、思わず声を上げてしまう。
「我慢、我慢。傷残っちゃ大変だしね。
先生、これから職員室に行くから。
休みたいならベッド使っていいわよ。
大丈夫なら授業受けなさいね。」
「はぁい...。」
確認をすると、木村先生は保健室から出て行った。
あの若いオトコノコとはまだ続いてるんだろうか。
聞くわけには、いかなかったけど。
白い空間の中にひとり。
そう言えば、保健室に来るのって初めて。
擦り傷しても持ってるバンソウコウをペタっとするだけだったし。
まあ、とりあえず。休もう。
そう思ってあたしは椅子からベットへ移動するため、立ち上がった。
そしたら足にピリっと痛みが走る。
ベッドに座って足を見てみると、
「...アザになってるし...。」
太ももの外側に大きな青アザがあった。
最悪...。