「今日もフラれたか...」


「なっ!フラれてません!」



憐れみの目を向け、ぽんぽんとあたしの肩を叩くのは、同じバスケ部マネの先輩の望月 美登里(もちづき みどり)先輩。

美人で、羨ましい事に市崎先輩の幼馴染なのだ!



「爽司は相変わらず手強いわね~」


む...なんか意味深な発言。

遠い目をして呟くミドリ先輩。

市崎先輩のこと呼び捨てできるなんてホント羨ましい!



「なんですか、ミドリ先輩っ。

″相変わらず″って!」



ぶうっと膨らませたあたしのフグみたいな頬っぺたをつついて、



「そ・れ・よ・り!

早くボール磨きしなさ~い。

恋する乙女、るいちゃん♪」



長い黒髪を揺らして体育館に向かっていった先輩。



これからミドリ先輩は練習の方を見に行くんだっ。


あたしに山積みにされた汚れたボールの磨き係を押しつけて!



ミドリ先輩の鬼!悪魔めっ。



ぶーぶー言いながら倉庫へ向かうあたしだった。