さあっと暖かな春の風が、足を止めたあたし達の間を吹き抜けた。
あたしは表情を固まらせ、押し黙る。
あたしの回転の遅い脳みそが、ハルキの言葉に混乱してる。
どういうこと?
真っすぐ、キレイな顔であたしに注がれる目線。
そのブラウンの瞳に捕えられて、瞬きさえ侭ならない。
金縛りにあってるみたいに。
「って、嘘だよ嘘。すぐ信じちゃって、るいは素直だな?」
張り詰めた空気がハルキのヘラヘラした表情で、一瞬にして緩んだ。
「...ちょ、ちょっとからかわないでよっ。」
パっと解けた体。
心臓がバクバクうるさい。
あたし、何ドキドキしてんの?
冗談なのに、真に受けてバカみたいっ。
「るいはバカだから、からかいがいあるわ。」
「ちょっと!失礼でしょ!」
――ハルキの言葉が冗談で、
内心ほっとした部分があたしにはあった。
心の奥底に存在する、
小さな疑問を否定したかった...。
それが、
あの人を傷つける鋭い針となっていることも知らずに...。

