「...うん。」


そう頷き、笑ったさくらは...

なんだか一瞬苦しそうにも見えた。



「...さくら?」




「るい、はよっ。」


「あ、おはよっ。ハルキ。」




チャイムが鳴る数分前、登校してきたハルキ。

ハルキが来たら、教室の雰囲気がガラっと変わる。

それは、女子の熱っぽい視線。


学校に来て姿を見られるようになったハルキは、もうすっかりモテ男。

休み時間とか、よく呼び出されたりしてる。

でも、こうして変わらずあたしに話しかけてくれるんだ。

もう、あたしの唯一の男友達。



「おはよう、瀬戸くん。」


あいさつするさくらはにこやかな笑顔。


さっきの笑顔は...。

あたしの思い過ごしかな。

自分を納得させた。



「ああ、おはよ。花城。」




こうしたやりとりが日常になってる。


何も問題がなく、充実した毎日。






――でも、こんな日常が続くわけもなく...

嵐は、すぐそこまで忍び寄っていた。