唄恋。

「…今日はどうしたんですか」

相変わらず俺の顔を見ようとはしてくれず、とりあえず俺は彼女の隣に座ってみた。

図々しい?馴れ馴れしい?何とでも言え、今日は少しでも彼女の事を知るっつー目標が有るんだからな。

「いや、ちょっと色々。一緒に弁当食おうかなって」

精一杯の笑顔を振りまいて持ってきた弁当を見せる。

…犯罪者級の悪い笑顔しか作れねーんだよな俺。

「…そう、ですか。」

ぽつりとそれだけ呟いた彼女はまた黙々と弁当を食べ始める。

うう…会話が続かない。こういう時は俺から話を振るべきなのだろうが何を話して良いのかさっぱりだ。

「あのさ、部活とかやってんの?歌上手いし…やっぱ軽音楽部とか」

思いつくままに話題を振る。

つか俺文化部とか全然知らねぇからな、軽音部しか出て来ないぜ。

「…合唱」

「ああ」

合唱部か。しかしあんな良い声で合唱部か…なんかちょっと以外。

ここの合唱部すげー下手なんだよな、入学式の校歌は代表して合唱部が歌っていたのだがとても綺麗とは言えない合唱だった。

あんな所に入って何か掴めるとは思えない。

「合唱部って…あんまり上手いヤツ居なくね?上手すぎて浮いたりとかしねぇの?」

上手すぎて浮くって。平凡凡人の俺には羨ましすぎるぜ。

「…」

しかしそこで応答が無くなった。



…あれれ、もしかして…マジ?