母親参上

最初に、膿を出すための管が抜かれた。
特に激痛を伴う訳でもないのに、星太は毎日の消毒を嫌がってるようだった。

「星太くん、処置室にきてください。」

この個人放送のようなものが、ベッドの頭元から流れると、

「あ~あ。」

そう言いながら、重い腰を動かすといった具合だった。

処置室に行くときに、側に体重計があるので乗せてみる。

「めっちゃ痩せたなぁ。」

母は、うらやましくもあり、可哀想でもあった。なんとなく、彼の1キロは、自分に例えると、5キロくらいなんじゃないかと思った。
病気のせいで痩せていくのは、本望ではない。まぁ、お菓子も持ち込めないし、病院で出される物以外は食べてはいけないので、カロリーや、栄養面では、ぐ~たらな母が出す、毎日の食事なんかより、良いものであることは間違いないけれど…。