母親参上

先生は、銀のトレイと、トレイにちょこんと乗っている盲腸と共に、席を立った。
旦那と私は、先生にお礼を言い、早々に星太の病室に向かった。

病室について、先生に言われた内容を、かいつまんで、おじいちゃんに話した。

「なんて、可哀想に…。」

おじいちゃんは言った。

ベッドの上には、鼻に酸素を送る器具を付け、導尿の管を入れ、点滴されている星太の姿があった。

インフルエンザじゃなかったら、休日でも、様子を見ずに病院に連れて行っていれば……
星太の寝顔を見ながら、色々と後悔だけが、胸をぐっとしめつける。

「星太…。」

母はそっと、彼の手を握ってやった。