母親参上

「病棟の看護師が迎えに来ますので、少しお待ち下さい。」

外来の看護師さんに言われ、診察室前の廊下で待っていた。
壁に貼ってある「盲腸の手術」という貼り紙を読んだ。

医学の進歩をうたったような貼り紙だ。

わずか1cmの穴を3つほどあけるだけ、日帰りも可!そんなような内容だったように思う。
すぐ帰れるんだ…。

母は、あんまり深く考えていなかったのかも知れない…。

まもなく、病棟の看護師さんが迎えに来た。

「今日、手術になる患者さんが入院になるかもって聞いてたんですが、時間かかりましたね~。」

そう言いながら、星太をベッドに乗せて動き始めた。

ほんらいなら、外科手術なので、外科病棟のはずだったらしい。しかし、まだ3年生だし、小児科病棟に空きがあったため、病院のはからいで、小児科病棟に入れてもらえた。
しかも、インフルエンザと言うこともあり、大事をとって個室を用意してくれた。
母はとてもありがたいと思った。