この日も彼の姿を見つけてめざとく近寄る女が居た。

とはいえ彼は誰かれ構わず手を付ける無節操な男では無い。

彼の今までの発言でも解ろうが、妥協という言葉を何より嫌うプライドの高さが彼に熱い視線を送る複数の女性に失望と敗北感を与える。

それでも運良く彼の隣に座る事を許可された女性は、執拗に身体を密着させ誘いをかける。

「仕方ねぇな…今夜だけだぞ」

これが、彼のお持ち帰りの定番パターンである。

パターンと言い切っている事でも解るが、もはや新鮮味は失せ、単なる暇潰しのお遊びと化している。

少なくとも彼の感覚では…