「早く食べよーよ!!
 せっかくのフォンデュが可哀相 だよ?」


レナは頬をプクッと膨らませていた。


彼女の右手に竹串、左手にフォークと準備万端のようだ。


まるでお子様ランチを待っている子供みたい。


ナオトはパパのように“はいはい”と彼女の頭を撫でて、宥めている。


“食べるよ!?”と一言だけ言い残し、手早く竹串にフランスパンを突き刺し、鍋の中でチーズをたっぷり付けて、パクリ。


十秒以内で展開されたこの光景はまさに華麗だった。

「すげぇ……」


ナオトは口をポカーンと開けたまま目をパチクリさせている。


彼女はそんなことも気にせず、二口目に突入しようとしているところだった。


「早くしないと全部食べちゃうよ ぉ?」


「じゃあ、オレも食べよ♪」


ケンも鼻歌混じりで、ブロッコリーを突き刺した。


「愛も食べなよ。
 ホントにレナに全部食べられそ うだから。」


ユウトが私に優しく微笑んでくれた。


私も彼に答えるようにコクリと頷いた。


「うん。」





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