あの日のユウの顔が忘れられない。



頭の中にしっかりと焼き付いて、剥がせない。

目を閉じても、瞼の裏側にぼんやりと映る。

今だって……




「愛ちゃん。」


低い声が私の耳元に響く。


そういえば、今、このおじさんの相手をしているところだった。

私は横から抱き着く。


「山本さん、なぁーに?」


目つきがニヤついていて、気持ち悪い。

それにこの男、Mを全開に押し出してくる。

打って欲しいのだの、上に乗って欲しいのだの、嫌になる。


それにしても、男は単純だ。

会社で椅子に踏ん反り返っていても、

家で亭主関白であっても、

ベッドの中じゃ、おじさんもこの有様。

なんて醜い動物なんだろう。



「また会ってくれないかな。」



ほら、コロッといった。



「私でよかったら、いくらでもお 相手します。」


そして、お決まりの営業スマイル。


「ありがとう。
 今度は美味しい物でもご馳走す るよ。」



結局、また同じ事の繰り返しだ。



このおじさんもだけど、

私はよっぽど、学習能力がないみたい。





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