「月に一回誕生日会あったじゃん。
 クラスのみんなからバースデー カードもらえてさ。
 その時にオレ、バースデーカー ドに何書けばいいかわかんなく て、愛に聞いたんだよ。
 って、覚えてないよな。」


彼の言葉を鍵にして、頭の引き出しを開けてみた。

でも、五年以上も前の事。
そう簡単に見つかるものでもなさそうだ。


「それで、私の誕生日、知ってた んだ。
 じゃあ、私が書いたやつもある の?」


彼は“持ってくる”と言うと、自分の部屋へ行ってしまった。

ソファの背もたれに軽くもたれ掛かる。

硬くもなく、柔らかくもない背もたれに支えられている。

彼の後ろ姿をぼんやりと見ながら、昔の日記を一枚一枚めくるように思い返してみた。






――あいちゃんはなにがすき?


――うみ。

  きれいなうみがみたい。


――そうなんだ。

  いつか見れるといいね。


――うん。







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