Sleeping dream

彼の家まで一言も話さなかった。

話す内容もなかったし、第一、話す必要がない。



微妙な距離感覚を保ちながら、家に着いた。





今日の私は彼の物。

気に入ってくれるだろうか……

早く私を埋めて欲しい。

早く……





「上がって。」


「お邪魔します。」


彼の家はマンション。
おそらく分譲だろう。

「オレ一人で住んでるから、気遣 わなくてもいいから。」

彼は何でもない事のように言うが、あまりにも冷たい部屋だった。


一人暮らしには十分すぎるほどの部屋は“家庭”という言葉を想像させてくれない。


白いリビングには大きなテレビ、二人掛けの赤いソファだけ。


まるで、ハムスターのかごみたい。








.