コップの中の氷が全て溶け終わろうとする頃、


美央ちゃんは私の目を見つめ、何か言い出そうとしている。

赤い唇は少し動くが、すぐに元に戻る。


彼女を見て、私から助け舟を出した。


「どうしたの?」


眉をハの字にして、静かに話を始めた。


「…あの、妹のあたしがこんな事 を聞くのもどうかなって思うん ですけど、やっぱり、気になっ ちゃって……」


私は彼女の目に吸い込まれるように頷いた。


「どうして、最近、お兄ちゃんと 会ってないんですか?」



彼女の口から出た言葉が“お兄ちゃん”でよかった。

不意打ちで“ユウ”とか言われたら、きっと、心臓が止まってたよ。





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