「ホントに送ってかなくて大丈夫 ?」


彼の声を背中で聞きながら、ブーツのファスナーを上に上げる。


「ありがとう。
 でも、平気だから。」


私も彼に背中を向けて答える。


「でも、まだ日出てないし。
 せめて、駅まで送ってくよ。」


彼の手が私の肩に触れる。


優しさが体にじんわりと伝わってくる。


私はその優しさを振り払うかのように立ち上がった。


ユウトの顔を見ると、私は微笑んだ。


「ホントに大丈夫だから。
 ユウト、優しいね。」



彼は頬を赤らめ、頭をかいている。


「ほら…あれだよ…
 また、何かあったら、オレんと こ来いよ。
 だから……――」


彼は次の言葉を選んでいるようだ。


彼の目が私の目を捕らえた。


「だからさ、援交とかもうすんな よ。」



――えっ……



一瞬、聞き間違えかと思った。


だって、ユウトが知るわけないじゃん。


知ってるのはユウだけだよ?


そうよ。


ユウトが知るはずない。





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